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その帰りに夜空を見上げると
真っ赤な月がそこにいた
携帯を忘れたから、家に戻って、外に出た頃にはもうその姿は見えなかった
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ねぇ、もっと顔を見せておくれよ
アナタの存在を感じさせてくれよ
この剣は
硝子で出来たこの剣は
アナタの血を浴びて初めてその姿を現すんだよ
真紅の血を浴びるまでは
刀身の形状すらもわからない
アナタの心臓を突けば
この剣は姿を現す
アナタの心臓に届くまで、僕は止まれない
―――ここではない何処かへ
世界は広くて
どうしようもないほど離れてしまうことがあるけど
僕達が息衝くところは、すべて空で繋がっている
でも
でも、もし
そこが
隔離された場所なら
空が
繋がっていない場所なら
僕の声の届かない場所なら
それは酷く寂しいこと
湧き上がる痛みの奔流
加速する思考
一瞬が永遠になって
刹那の逡巡で、僕はもう一度
僕の人生を体験した
血液が凍り付いて
死を
間近に感じた
あんな体験は二度としたくないし、してほしくない
名も知らぬ君がこの世界から消えても
僕はそれを受け止められない
―――もし私が死んだら、○○はどうします?
―――その日、一日、禁煙しましょう
煙草の代わりに花に火をつけて、空に送りましょう
―――馬鹿だね。空は、繋がっていないのに
キーンコーンカーンコーン
生徒「今日は夏影先生の講義らしいよ」
生徒「数学ネタは尽きたとか言ってたのに、何やるんだろうね」
夏影「はい、そこ~。先生の目の前でそういうこと言わない」
生徒「でも、夏影先生。数学の講義じゃないなら、なにやるんですか?」
夏影「お前らは勘違いをしている。俺の専攻は数学じゃなくて材料だ」
生徒「え?そうだったんですか」
夏影「あまりにも数学トークをしすぎるせいで、マスターにも数学が専攻だと思われていたんだぞ」
生徒「でも、材料って漠然としたテーマですね」
夏影「金属から樹脂まで何でも来いだからな。だから、今日は先生の大好きな鉄に的を絞ってやろうと思う。さて、問題だ。鉄の融点がわかる奴はいるか?」
生徒「はい。1500℃です」
夏影「80点だな。大体1524℃と言われてる。しかしな、最近の研究では1535℃とも言われるし、ちょっと曖昧なんだ」
生徒「どうして数値が曖昧なんですか?」
夏影「いい質問だ。科学の世界にはな、理論値と言うものがあるんだ。とある物質に対して、強度、温度、密度などの情報があるんだがな、そのなかでも理想的なものの数値を理論値と言う」
生徒「理想的っていうのは、どう理想的なんですか?」
夏影「まずはその物質が不純物の一切入っていない純粋なものであること。これは化学的な性質に大いに関わる。次に測定環境。気温、圧力などが関わってくるな。あとは、物質の強度的な面から見ると、欠陥が無いことだ。これは後で説明しよう」
生徒「つまり、理論値が変わると言うことは、時代が進歩して、より高度な計測が出来るようになったため、ですね」
夏影「それ、俺の台詞な。じゃあ、次、鉄の性質に関して話そうか。お前ら、鉄に関してどういうイメージがある?」
生徒「安い」
生徒「その割りに、硬い」
生徒「錆びる」
夏影「まぁ、そんな所か。まずはそうだな。鉄ってのは安いんだ。他の同程度の強度を有するものに比べるとな。その理由は資源の豊富さともう一つあるんだが、何かわかるか?」
生徒「わかりません」
夏影「そうか。お前みたいな生徒大好きだぞ、先生。その理由ってのはな、リサイクルしやすいんだ。2006年のデータによると、世界に出回った鉄の内、実に40%がリサイクルによるものなんだ」
生徒「でも、リサイクルしたら質が落ちたり、コストがかかったり大変じゃないですか」
夏影「ところがな、鉄はリサイクルがしやすい上に、何度リサイクルしても、その特性を失わないという面白い性質があるんだ。だから安く済むし、何度でもリサイクルできる。じゃあ、次は硬さについてだな。鉄は実はそんなに硬くないんだ。身近にアルミニウムがあったりするから硬いと思われる」
生徒「先生、でもスチール缶って硬いじゃないですか」
夏影「...誰か、鉄を英語でなんていうかわかるか?」
生徒「steelじゃないんですか?」
生徒「ironじゃないですか?」
夏影「そう、鉄はironだ。じゃあ、steelってなんだ?」
生徒「鉄の別称?」
夏影「違う。steelってのは鋼のことだ」
生徒「ドラクエとかで出てくる?」
夏影「そうだ。鉄の剣より鋼の剣のほうが強いだろ?」
生徒「えっと、つまり鋼って物質があるんですね」
夏影「そうだ。だが、お前の勘違いももっともだ。鋼ってのは、ほとんど鉄なんだ」
生徒「どういうことですか?」
夏影「鋼というのはな、鉄と炭素の合金のことだ」
生徒「合金って、炭素は金属じゃないじゃないですか」
夏影「半分金属なんだよ、あれは。合金物質において、合金に用いられる元素は金属として扱われるんだ。けど、普段は金属としての性質を示さない。だから半分なんだ。ところで、炭素って聞いて何を思い浮かべる?」
生徒「炭」
生徒「ダイヤモンドの原料」
夏影「そうだな。ところで炭素の結晶構造がわかる奴いるか?」
生徒「六方晶です」
夏影「そうだな。じゃあ、ダイヤモンドの構造わかる奴いるか?」
生徒「六方晶じゃないんですか?」
夏影「その理論でいくと、炭とダイヤモンドは同じ硬さになるな」
生徒「ダイヤモンドも鋼みたいに、炭素と何かの合金なんですか?」
夏影「違う。ダイヤモンドは紛れも無く炭素そのものだ」
生徒「じゃあ、何でダイヤはあんなに硬いんですか?」
夏影「答えは、結晶構造が変わるからだ。炭みたいに、炭素の代表的な形は六方晶だ。これは六方晶の形に炭素原子が配置されるんだ。しかしダイヤモンドは六方晶ではなく、ダイヤモンド型構造という固有のものになる。これがダイヤモンドの硬さの秘密だ。話を戻す前に、鉄の結晶構造はなんだ。いや、聞くまでも無いな。体心立方晶(以下bcc)だな。鋼の話に戻るぞ。鋼ってのはな鉄のbccの隙間に炭素原子が入り込むことにより出来るんだ」
生徒「でも、不純物が入ったら、弱くなるんじゃないんですか?Fe3Cって脆いじゃないですか」
夏影「いい質問だ。お前、本当に高校生か?」
生徒「この作品の登場人物はすべて18歳以上です」
夏影「そうか、児ポ法も真っ青だな。でだ、さっきお前が言ったようにFe3Cは脆い。だけどな、炭素含有量を調節すれば、そうならない。具体的に言うと7%以下だ。だが、それだけじゃあ鋼とは言えない。炭素含有量2.14%以下のものを鋼といい、それ以上7%以下を鋳鉄と呼ぶ」
生徒「鋼と鋳鉄は違うんですか?」
夏影「硬さと伸びが違う。鉄ってのはな、結構延性に富むんだ。だから、鋼のように炭素含有量が少なければ、延性を損なわずにある程度の硬さが得られる。逆に、鋳鉄は延性がなく、そこそこの硬さを得られる」
生徒「えっと、つまりどっちが硬いんですか?」
夏影「硬さってのは色々難しくてな、どっちが強いのかと言われればどっちとも言いがたい。それぞれがそれぞれの特性を持つから、ケースバイケースだな。さて、鋼に関して言うと面白いものがある。お前ら、木の板に釘を打ちつけたことあるか?」
生徒「ありますけど、釘が曲がりました」
生徒「俺は板が割れました」
夏影「釘が曲がるのは、鋼の炭素含有量が少ないから曲がったんだ。板が割れるのは木の節を打ち抜いたからだな。でだ、法隆寺に使われてた千年の釘、というものがある。これは面白いものでな...」
キーンコーンカーンコーン
夏影「おっと、もう終わりか。じゃあ、これ宿題にするぞ」
生徒「「え~」」
問題
釘を打つにあたって、節を打ち抜いてしまっては板が割れます。かといって、節の無いところを探して打つのも面倒です。だが、そんな問題をものともせずに釘は板を固定し、千年間耐え続けました
さて、問題です。この釘が節に到達したとき、釘の形状がどのようになったかを答えなさい
この問題を見たら解答すること。頼むから
月が遠くで呼んでいるんだ
甘く囁くように
辛らつに突き放すように
きっとそこは居心地がいいんだろう
赤子を包む揺り籠のように
けど、生憎と僕はかぐや姫じゃないから
そこが帰る場所なわけじゃないんだ
仲間が助けてくれたよ
もうオツベルに使役される必要もないし、くだらない意地を張る必要も無いんだ
だから、こうして夜道を歩いていられる
僕の歩く道は直線じゃないから
寄り道もするし、回り道もする
だから、もしかしたら僕の歩く道に、また月の光が差し込むかもしれない
クロスポイントは過ぎたけど、また新しい交差点があるかもしれないね
僕はもう少し歩いてみるよ
この霧の晴れた頃に、また会おう、サンタマリア
