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パシャパシャパシャ
音をたてて走っている
裾は言うまでも無く、頭もびしょ濡れだ
まったく、晴れると言ったじゃないか、良純め
//
電車の帰宅ラッシュに揉まれて外に出れば、そこはどしゃぶりの雨だった
当然傘はない
駅の出口で空を見上げて途方に暮れる人々を尻目に
早足に家に向かってみたが、少々見くびっていたようだ
やれやれ、こんなことならあの群れに加わっていれば良かったか
思い直したところで駅は遠く
しょうがなく足を急がせた
//
体の冷えが酷くなってきた
雨足は弱くなる気配は無い
少々休憩をしようかと思い立ち
目の端に止まった軒下で雨宿りをすることにした
額から落ちる雫を拭い、周りを見回してみると
他の軒下にも雨宿り客はいた
ここにはいないようだが
パシャ
あぁ、どうやらいたようだ
足元に跳ねるカエルが一匹
雨空を見上げてそこにいた
―――カエル君、カエル君。君も雨宿りかい?
「おいおい、馬鹿を言うなよ。僕はカエルだぞ?どうして雨宿りをする必要があるのさ」
―――ハハッ、それは違いない。ならどうしてここにいるんだい?
「少し遊び疲れたのさ」
それきりカエルは黙った
雨は降り続いている
カチ、シュボ
所在ないので煙草を吸うことにした
すると
「おいおい、煙草はやめてくれよ」
―――煙は上に行く。君は下にいるから大丈夫じゃないか
「アクアフィルタ」
―――は?
「雨がヤニを吸着して下に落ちる。君は僕にヤニに打たれろと言うのかい?」
―――そうか、雨が空と地を結んでいるんだね
「そんなことに今更気付いたのかい?」
―――ごめん、ごめん。なら煙草はやめることにしよう
煙草をポケットに仕舞い、沈黙が再び戻る
空と地を結ぶもの
それが、ただただ降り続いている
「この雨はね......」
―――ん?
「この雨は僕らが降らせているんだ」
―――君達カエルが、かい?
「そうだよ」
―――へぇ、凄いんだね
「馬鹿にしてるだろう?」
カエルは文字通り頬を膨らませて不機嫌そうに声を出した
―――違う、違う。本当に凄いと思ったんだよ。雨を降らせられるなんて、まるで神様みたいだ
「君達人間だって、大地を作り変えられるじゃないか。それと同じだよ」
―――同じ、かなぁ?
「同じだよ」
―――じゃ、そういうことにしておこう
「むぅ。君はいちいち人の癇に障る言い方をするな」
―――悪気は無いよ
「その言葉に悪気があるよ」
―――そうか。あ、いや、他意はないんだ。謝るよ、ごめん
「律儀な奴だな。君はどうしてカエル相手に謝っているのさ」
―――さぁ、話し相手になってくれたからかな
「おかしな奴だ」
―――よく言われるよ
//
濡れた体が適度に乾いた頃、カエルは一度跳ねてこちらを向いた
「僕はもう行くことにするよ」
―――そう、じゃあ僕も行くよ
「じゃあな、おかしな人間」
―――じゃあね、小さな神様
カエルはそのまま雨の中に跳ねていった
僕も行くことにしよう
と、
ズァァァーーー!!
通りがかった車に泥水を浴びせられてしまった
不愉快だ
一言文句を言ってやろうかと思ったが、テールランプは遥か遠くだ
諦めて帰ろう
パシャ、パシャ、パシャ
パシャ、パシャ、ピチャ
雨足は弱くなってきたようだ
音をたてて走っている
裾は言うまでも無く、頭もびしょ濡れだ
まったく、晴れると言ったじゃないか、良純め
//
電車の帰宅ラッシュに揉まれて外に出れば、そこはどしゃぶりの雨だった
当然傘はない
駅の出口で空を見上げて途方に暮れる人々を尻目に
早足に家に向かってみたが、少々見くびっていたようだ
やれやれ、こんなことならあの群れに加わっていれば良かったか
思い直したところで駅は遠く
しょうがなく足を急がせた
//
体の冷えが酷くなってきた
雨足は弱くなる気配は無い
少々休憩をしようかと思い立ち
目の端に止まった軒下で雨宿りをすることにした
額から落ちる雫を拭い、周りを見回してみると
他の軒下にも雨宿り客はいた
ここにはいないようだが
パシャ
あぁ、どうやらいたようだ
足元に跳ねるカエルが一匹
雨空を見上げてそこにいた
―――カエル君、カエル君。君も雨宿りかい?
「おいおい、馬鹿を言うなよ。僕はカエルだぞ?どうして雨宿りをする必要があるのさ」
―――ハハッ、それは違いない。ならどうしてここにいるんだい?
「少し遊び疲れたのさ」
それきりカエルは黙った
雨は降り続いている
カチ、シュボ
所在ないので煙草を吸うことにした
すると
「おいおい、煙草はやめてくれよ」
―――煙は上に行く。君は下にいるから大丈夫じゃないか
「アクアフィルタ」
―――は?
「雨がヤニを吸着して下に落ちる。君は僕にヤニに打たれろと言うのかい?」
―――そうか、雨が空と地を結んでいるんだね
「そんなことに今更気付いたのかい?」
―――ごめん、ごめん。なら煙草はやめることにしよう
煙草をポケットに仕舞い、沈黙が再び戻る
空と地を結ぶもの
それが、ただただ降り続いている
「この雨はね......」
―――ん?
「この雨は僕らが降らせているんだ」
―――君達カエルが、かい?
「そうだよ」
―――へぇ、凄いんだね
「馬鹿にしてるだろう?」
カエルは文字通り頬を膨らませて不機嫌そうに声を出した
―――違う、違う。本当に凄いと思ったんだよ。雨を降らせられるなんて、まるで神様みたいだ
「君達人間だって、大地を作り変えられるじゃないか。それと同じだよ」
―――同じ、かなぁ?
「同じだよ」
―――じゃ、そういうことにしておこう
「むぅ。君はいちいち人の癇に障る言い方をするな」
―――悪気は無いよ
「その言葉に悪気があるよ」
―――そうか。あ、いや、他意はないんだ。謝るよ、ごめん
「律儀な奴だな。君はどうしてカエル相手に謝っているのさ」
―――さぁ、話し相手になってくれたからかな
「おかしな奴だ」
―――よく言われるよ
//
濡れた体が適度に乾いた頃、カエルは一度跳ねてこちらを向いた
「僕はもう行くことにするよ」
―――そう、じゃあ僕も行くよ
「じゃあな、おかしな人間」
―――じゃあね、小さな神様
カエルはそのまま雨の中に跳ねていった
僕も行くことにしよう
と、
ズァァァーーー!!
通りがかった車に泥水を浴びせられてしまった
不愉快だ
一言文句を言ってやろうかと思ったが、テールランプは遥か遠くだ
諦めて帰ろう
パシャ、パシャ、パシャ
パシャ、パシャ、ピチャ
雨足は弱くなってきたようだ
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