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ジリジリと熱を発するオーブンを背に，カップを磨く
店内に人は少ない
スローテンポの音楽とともに流れるは紫煙
音が
空気が
時が
すべてがゆったりと流れていく
磨いたカップを棚に入れ，椅子に腰かけて腕時計に目をやる
さて，こんなことをするのは何度目だったか
約束もしていないのに，私は何を待っているのか
彼女は，来てくれるだろうか
//
ねぇ，知ってるかい？
君は君が思ってるよりもずっと素敵な人
そろそろ，それを認めて欲しいな
世辞に聞こえるかな？
生憎と，俺は思ってもいないことを口に出来るほど器用な人間じゃないよ
君はいつも自分の在り方に悩んでいて
少しでもマシな自分になろうと足掻いてる
誰がそれを無様と笑えるというんだ
疲れた時はここに来るといい
腕によりをかけて珈琲を淹れよう
あぁ，レモネードのほうが良かったかな？
それとも紅茶？
知ってるんだ
君が紅茶党だってこと
俺にとってはね，無理に珈琲を頼むよりも
君が美味しいと思うものを頼んで欲しい
君がうれしそうな顔をしていれば
それだけで俺はいいんだから
//
カウンターの裏にはそっと忍ばせた真紅のゼラニウム
やはり彼女には赤い花が似合う
燃え上がる情熱の赤が
背を向けたオーブンが止まった頃
カランカランとベルが鳴り，
ドアの向こうには肩に雪を乗せた君がいた
―――今日はもう店仕舞いだ，入ってくれ
店内に人は少ない
スローテンポの音楽とともに流れるは紫煙
音が
空気が
時が
すべてがゆったりと流れていく
磨いたカップを棚に入れ，椅子に腰かけて腕時計に目をやる
さて，こんなことをするのは何度目だったか
約束もしていないのに，私は何を待っているのか
彼女は，来てくれるだろうか
//
ねぇ，知ってるかい？
君は君が思ってるよりもずっと素敵な人
そろそろ，それを認めて欲しいな
世辞に聞こえるかな？
生憎と，俺は思ってもいないことを口に出来るほど器用な人間じゃないよ
君はいつも自分の在り方に悩んでいて
少しでもマシな自分になろうと足掻いてる
誰がそれを無様と笑えるというんだ
疲れた時はここに来るといい
腕によりをかけて珈琲を淹れよう
あぁ，レモネードのほうが良かったかな？
それとも紅茶？
知ってるんだ
君が紅茶党だってこと
俺にとってはね，無理に珈琲を頼むよりも
君が美味しいと思うものを頼んで欲しい
君がうれしそうな顔をしていれば
それだけで俺はいいんだから
//
カウンターの裏にはそっと忍ばせた真紅のゼラニウム
やはり彼女には赤い花が似合う
燃え上がる情熱の赤が
背を向けたオーブンが止まった頃
カランカランとベルが鳴り，
ドアの向こうには肩に雪を乗せた君がいた
―――今日はもう店仕舞いだ，入ってくれ
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用意するのは紙と鋏。
器用に折りこなして、丁寧にラッピング。
仕上げにリボンを忘れずに。
届いた箱を開けてみれば、
中に入っていたのはひまわりの種。
うっすらと、お日様の香りがする、そんな贈り物。
その繊細な指先は文章も綴る。
丁寧に梱包するように、
丁寧に綴られる言葉。
暖かな母性と、繊細な女心を篭めて。
溢れる母性と、隠しきれないエロス。
お母さんって呼びたくなったり、歳の近い友人のようでもあったり、
色々なものを内包しているのに、確固たる個が確立されてる。
だから、未だに全容が掴めないでいる。
はっきりしているのは、
彼女はまるで太陽のようだってこと。
彼女の周りは彼女の光に照らされている。
とても暖かく、安心感を与えてくれる光。
//
みんな、そんな貴女が大好きなんです。
無論、私も。
お誕生日、おめでとうございます。
小雪さんに、感謝と愛と祝福を篭めて。
器用に折りこなして、丁寧にラッピング。
仕上げにリボンを忘れずに。
届いた箱を開けてみれば、
中に入っていたのはひまわりの種。
うっすらと、お日様の香りがする、そんな贈り物。
その繊細な指先は文章も綴る。
丁寧に梱包するように、
丁寧に綴られる言葉。
暖かな母性と、繊細な女心を篭めて。
溢れる母性と、隠しきれないエロス。
お母さんって呼びたくなったり、歳の近い友人のようでもあったり、
色々なものを内包しているのに、確固たる個が確立されてる。
だから、未だに全容が掴めないでいる。
はっきりしているのは、
彼女はまるで太陽のようだってこと。
彼女の周りは彼女の光に照らされている。
とても暖かく、安心感を与えてくれる光。
//
みんな、そんな貴女が大好きなんです。
無論、私も。
お誕生日、おめでとうございます。
小雪さんに、感謝と愛と祝福を篭めて。
子供の頃の夢はラーメン屋でした。志望理由はラーメンが好きだから
その次に抱いた夢が小説家。これまた本を読むのが好きだとか、物語を書くのが好きだからだった
すごい単純。俺にも子供の頃があったんだなって思う瞬間
けど、実際、大学生になった今でもそれはあまり変わらない
就きたい職業は鉄鋼業。志望理由は、鉄鋼に触れているのが好きだから
子供の頃と今で違うことがあるとしたら、鉄鋼に関する知識がある程度あるということ
二年後、俺は何をしているんだろうって考えたら、大して今と変わらないと思う
工業大学の卒業研究って、誰にやれとも言われないし、手取り足とり教えてくれる人もいない
絶対条件が、「大雑把でもいいからプランは自分で考えろ。細かい修正まで手伝わないとは言わないから。人任せだけはやめろ」
自分で考えて、時には相談して、過去の知識を得て、少しずつ形になっていく
もしこの先、俺が本当に鉄鋼業に就いても、当たり前だがそれは変わらない
変わるとしたら、考えるべきプランを正確にすることと、そのプランに失敗した場合、会社が不利益を蒙るという事だろう
そして、社会という機械の歯車として、組み込まれるという事だ
//
大学院の志望動機は「独創性を養いたいから」
歯車になるなら、歯車なりに自分で考えて行動したい
学部卒にそれが出来ないわけじゃないが、より強化するにはもってこいの場所だろう
//
俺はやりたいことがある
やりたいことに向かって、あと二年を院で過ごす
お前は、どうする？
すまんが、俺には、お前のための解決案を出してやることは出来ない
お互い、時間は未来にしか残っていない
その時間をどう使うかはお前の自由だ
そう、自由
自由って案外、大変なんだよな
その次に抱いた夢が小説家。これまた本を読むのが好きだとか、物語を書くのが好きだからだった
すごい単純。俺にも子供の頃があったんだなって思う瞬間
けど、実際、大学生になった今でもそれはあまり変わらない
就きたい職業は鉄鋼業。志望理由は、鉄鋼に触れているのが好きだから
子供の頃と今で違うことがあるとしたら、鉄鋼に関する知識がある程度あるということ
二年後、俺は何をしているんだろうって考えたら、大して今と変わらないと思う
工業大学の卒業研究って、誰にやれとも言われないし、手取り足とり教えてくれる人もいない
絶対条件が、「大雑把でもいいからプランは自分で考えろ。細かい修正まで手伝わないとは言わないから。人任せだけはやめろ」
自分で考えて、時には相談して、過去の知識を得て、少しずつ形になっていく
もしこの先、俺が本当に鉄鋼業に就いても、当たり前だがそれは変わらない
変わるとしたら、考えるべきプランを正確にすることと、そのプランに失敗した場合、会社が不利益を蒙るという事だろう
そして、社会という機械の歯車として、組み込まれるという事だ
//
大学院の志望動機は「独創性を養いたいから」
歯車になるなら、歯車なりに自分で考えて行動したい
学部卒にそれが出来ないわけじゃないが、より強化するにはもってこいの場所だろう
//
俺はやりたいことがある
やりたいことに向かって、あと二年を院で過ごす
お前は、どうする？
すまんが、俺には、お前のための解決案を出してやることは出来ない
お互い、時間は未来にしか残っていない
その時間をどう使うかはお前の自由だ
そう、自由
自由って案外、大変なんだよな
世界を知りたいなら物語に触れるといい
人を知りたいなら人の作品に触れるといい
小説、漫画、絵画、詩集、音楽
なんだったらゲームでもいい
どれかを選べ
どれでも選べ
人の考えに触れてみろ
人の手法を真似てみろ
新たな自分を構築しろ
先に進んだか、後ろに下がったか
上に昇ったか、下に堕ちたか
そんなものは死の間際に考えればいい
休憩は認めよう
停滞は認めない
考えろ考えろ考え続けろ
何かに疑問を持て
人、世界、現象、思想
なんでもいい
中二病と言われるのが怖いか？
ゆとりと言われるのが怖いか？
そんなものは放っておけ
自分達こそが一番正しいと勘違いした連中の話に耳を傾けるな
俺に疑問を持て
反発しろ
そして、そこにこそ
君の望む君がいるはずだ
人を知りたいなら人の作品に触れるといい
小説、漫画、絵画、詩集、音楽
なんだったらゲームでもいい
どれかを選べ
どれでも選べ
人の考えに触れてみろ
人の手法を真似てみろ
新たな自分を構築しろ
先に進んだか、後ろに下がったか
上に昇ったか、下に堕ちたか
そんなものは死の間際に考えればいい
休憩は認めよう
停滞は認めない
考えろ考えろ考え続けろ
何かに疑問を持て
人、世界、現象、思想
なんでもいい
中二病と言われるのが怖いか？
ゆとりと言われるのが怖いか？
そんなものは放っておけ
自分達こそが一番正しいと勘違いした連中の話に耳を傾けるな
俺に疑問を持て
反発しろ
そして、そこにこそ
君の望む君がいるはずだ
一番という言葉に魅力を感じない
これは子供の頃からだ
テストで一番をとった教科よりも
前より点数が向上した教科に喜ぶ
一番頭のいい人
一番かっこいい人
一番優しい人
一番楽しませてくれる人
一番幸せにしてくれる人
それのどれにもなりたいとは思わない
勿論、努力を怠るつもりは無い
昨日より優しい自分になろうとか
昨日より頭のいい自分になろうとか
そういう努力はしているつもりだ
でもそれを他の誰かと比較するつもりはない
俺は俺なりにやって生きたいからね
でも
でもたった一つだけ
たった一つだけ譲れないものがあるとするならば
他の誰がかける愛情よりも
君を強く愛しているということ
このことだけ貫けるのであれば
俺はそれでいい
これは子供の頃からだ
テストで一番をとった教科よりも
前より点数が向上した教科に喜ぶ
一番頭のいい人
一番かっこいい人
一番優しい人
一番楽しませてくれる人
一番幸せにしてくれる人
それのどれにもなりたいとは思わない
勿論、努力を怠るつもりは無い
昨日より優しい自分になろうとか
昨日より頭のいい自分になろうとか
そういう努力はしているつもりだ
でもそれを他の誰かと比較するつもりはない
俺は俺なりにやって生きたいからね
でも
でもたった一つだけ
たった一つだけ譲れないものがあるとするならば
他の誰がかける愛情よりも
君を強く愛しているということ
このことだけ貫けるのであれば
俺はそれでいい
