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空を見上げれば満天の星空

波音は優しく

海面に映るは黄金の月


語り

触れ

互いを見つめる


―――暗いのは怖いよ

そう呟く、君の不安げな顔も

今は揺らめいて見えない


翳す掌を合わせて

そっと微笑む

でもきっと

この表情も

君には見えないんだろうね


君を知りたくて

僕は僕を知った

僕を知りたくて

僕は君を知った


君はいつも不安そうで

だから僕は陽気に振舞う

君が泣けば

僕は笑わそう

それで君が笑ってくれれば

僕は嬉しい



風が出てきた

ジャケットの裾を立ててその場を後にする

濡れた手をそっと払い

夜の街へと戻っていく
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青く青く

澄み切った青に堕ちて

ゆっくりと沈んでいく




胴体

下半身


最後に残ったその白い手が

海面に突き出される


でも

それももうお終い

白く細い指先が

青に沈む


あとはゆっくりと

沈むだけ



やがてその体は海底に達し

人魚姫は泡となって消えるだろう


その泡は

青い海に記録されること無く海面に達し

蒼い空に記憶されて地上に残るだろう
パシャパシャパシャ

音をたてて走っている

裾は言うまでも無く、頭もびしょ濡れだ

まったく、晴れると言ったじゃないか、良純め

//

電車の帰宅ラッシュに揉まれて外に出れば、そこはどしゃぶりの雨だった

当然傘はない

駅の出口で空を見上げて途方に暮れる人々を尻目に

早足に家に向かってみたが、少々見くびっていたようだ

やれやれ、こんなことならあの群れに加わっていれば良かったか

思い直したところで駅は遠く

しょうがなく足を急がせた

//

体の冷えが酷くなってきた

雨足は弱くなる気配は無い

少々休憩をしようかと思い立ち

目の端に止まった軒下で雨宿りをすることにした


額から落ちる雫を拭い、周りを見回してみると

他の軒下にも雨宿り客はいた

ここにはいないようだが

パシャ

あぁ、どうやらいたようだ

足元に跳ねるカエルが一匹

雨空を見上げてそこにいた



―――カエル君、カエル君。君も雨宿りかい?

「おいおい、馬鹿を言うなよ。僕はカエルだぞ?どうして雨宿りをする必要があるのさ」

―――ハハッ、それは違いない。ならどうしてここにいるんだい?

「少し遊び疲れたのさ」

それきりカエルは黙った



雨は降り続いている

カチ、シュボ

所在ないので煙草を吸うことにした

すると

「おいおい、煙草はやめてくれよ」

―――煙は上に行く。君は下にいるから大丈夫じゃないか

「アクアフィルタ」

―――は?

「雨がヤニを吸着して下に落ちる。君は僕にヤニに打たれろと言うのかい?」

―――そうか、雨が空と地を結んでいるんだね

「そんなことに今更気付いたのかい?」

―――ごめん、ごめん。なら煙草はやめることにしよう

煙草をポケットに仕舞い、沈黙が再び戻る


空と地を結ぶもの

それが、ただただ降り続いている

「この雨はね......」

―――ん?

「この雨は僕らが降らせているんだ」

―――君達カエルが、かい?

「そうだよ」

―――へぇ、凄いんだね

「馬鹿にしてるだろう?」

カエルは文字通り頬を膨らませて不機嫌そうに声を出した

―――違う、違う。本当に凄いと思ったんだよ。雨を降らせられるなんて、まるで神様みたいだ

「君達人間だって、大地を作り変えられるじゃないか。それと同じだよ」

―――同じ、かなぁ?

「同じだよ」

―――じゃ、そういうことにしておこう

「むぅ。君はいちいち人の癇に障る言い方をするな」

―――悪気は無いよ

「その言葉に悪気があるよ」

―――そうか。あ、いや、他意はないんだ。謝るよ、ごめん

「律儀な奴だな。君はどうしてカエル相手に謝っているのさ」

―――さぁ、話し相手になってくれたからかな

「おかしな奴だ」

―――よく言われるよ

//

濡れた体が適度に乾いた頃、カエルは一度跳ねてこちらを向いた

「僕はもう行くことにするよ」

―――そう、じゃあ僕も行くよ

「じゃあな、おかしな人間」

―――じゃあね、小さな神様


カエルはそのまま雨の中に跳ねていった

僕も行くことにしよう

と、

ズァァァーーー!!

通りがかった車に泥水を浴びせられてしまった

不愉快だ

一言文句を言ってやろうかと思ったが、テールランプは遥か遠くだ

諦めて帰ろう




パシャ、パシャ、パシャ

パシャ、パシャ、ピチャ

雨足は弱くなってきたようだ
モノクロの世界

殺風景な小部屋に置かれた映写機

回りだす

回り終わった世界で回りだすリール

カタカタカタカタ

小部屋に鳴り響く音はリールが回る音のみ

■はその横で立ち尽くすも、レンズの映す映像に見入る

そこに映るのは一人の赤子

―――さて、これより御覧頂きますのは一人の人間の一生で御座います

スピーカーの無い部屋に響き渡る性別を感じさせない声


目まぐるしく変化していく映像

赤子は子供に

子供は青年に

青年は大人となり

やがて老衰していく



フィルムの最後は老人の死で締めくくられた


―――貴方はどれだけのことを為してきましたか?

―――貴方はどれだけの人に生を刻み付けましたか?

―――貴方はどれだけの罪を重ねましたか?

小部屋に響き渡る声






カラカラカラカラ

消えていった声の変わりに響くのは

空回りし続けるリールの回る音



やがて

カラン

リールが落ちる音が部屋に木霊する

そして再び落ちてくる声

―――さて、審判の時です。右の扉に進むか、左の扉に進むか、貴方が決めてください

声と共に現れる左右の扉

扉がどこに通じるかもわからない

右は天国

左は地獄、か

―――どちらを選んでも結果は同じです。どちらも同じ場所にしか通じていませんから

可笑しな話だ

それでは選択させる意味など無いではないか

―――貴方次第、ですよ


数瞬の思考の末、■は左の扉を選び

そして部屋には誰もいなくなった

―――さて、お客人が天国、地獄、どちらの世界に落ちたのか。それは私にもわかりません。いえ、もしかしたら始めからあの扉は現世へと通じていたのかもしれません。彼が望み、世界がそれを許したとき、彼は望み通りの世界へ行くことが出来る。さて、今宵はこれにて閉館とさせていただきます。明日のお客人がどの世界に落ちるかは、私にはわかりません。それでは、ごきげんよう......
飾り気の無い部屋に装飾品が欲しくなって

ドライフラワーを買って、窓際に置いた

来る日も

来る日も花を愛で続けた


いつまでも保ち続けられる花の美しさ

こいつは枯れずにずっと綺麗なままだ


でも、やがて気付く

その花が少しずつ汚れていっていることに


綺麗なのに

汚い


これは自己満足だ

花の外見だけを保つ為に続けた自己満足だ


そんなことに気付いたら

唐突に花を握りつぶしていた

//

飾り気がなくなった部屋に装飾品が欲しくなって

本物の花を買った


この花はその内枯れるのだろう

精一杯に咲き誇り、枯れていくのだろう


でも、きっと

それを含めてこそ花は美しいのだ

花の外見じゃない

その生き方が......



作り物の花は汚れても咲き続ける

本物の花は精一杯咲いて散る
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年齢:
38
性別:
男性
誕生日:
1986/12/13
職業:
大学生
趣味:
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自己紹介:
自称ではない二つ名

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